多くのウクライナの人々が今もシェルターの中で爆撃の音に震えて夜を過ごしており、また避難民の数は増え続けています。
自分が育った街が、ともに育った人が失われてしまう悲しみは想像を超えるものでしょう。
平和への切なる願い、傷ついた人々への祈りを込めて・・・
ピアノによる『キエフの鳥の歌』
日本語版歌曲『キエフの鳥の歌』
1984年に北海道合唱団がウクライナの首都キエフ(現:キーウ)を訪れたとき、歓迎会で演奏された原曲を日本に持ち帰ったものだとされます。
メロディは、女声合唱団チャイカの中島章利氏が日本語向けにアレンジしています。
訳詞:木内宏治
1. 果て無き空のかなた いとしい鳥は飛ぶ
丘にひとりたたずみ 過ぎにし日を思う
心にしみる鳥の声 白鳥よ 鶴よ
優しき人は今いずこ 教えておくれ
2. 夜霧に沈む森よ ほの暗き谷間よ
歌声 川面をゆく 我が思いをのせて
鶴の歌声によせて 届けよ愛の歌
優しき人は今いずこ 教えておくれ
優しき人は今いずこ 教えておくれ
ウクライナ版原曲の訳詞
原曲の訳詞はどのような内容でしょうか。
中島章利氏による訳詞の一部をご紹介しましょう。
日本語版との共通点も数多く見出せます。
【サヨナキドリ】 西洋で最も美しい鳴き声で知られる 別名:ナイチンゲール
遠い南へとまた
鳥たちはウクライナから飛び去っていく
高く渦を巻いて
なるかな旅路を行く
夜鶯(サヨナキドリ)の歌が消えた
流れていた空から
夜鶯の歌流れるウクライナは
その歌もなしに
どうやって暮らしていくのだろうか
白鳥の歌が消えた
飛んでいた空から
白鳥の歌流れるウクライナは
白鳥の悲しい歌もなしに
どうやって暮らしていくのだろうか
4月、悲しみに暮れるウクライナ・キーウの町に、渡り鳥の一種・コウノトリが帰ってきました。
そして砲弾でボロボロに破壊された家の屋根に巣をつくりました。
コウノトリはウクライナ人にとってとても神聖で、春と新しい命と平和の象徴です。邪悪から家を守る、大切なお守りでもあります。
彼らには国境がありません。アフリカで冬を過ごし、ウクライナに戻る-
コウノトリが青い空を渡り、軽々と巣の上に上陸するのを見守るとき、ウクライナの人々は彼らが勝利と平和をもたらすように祈るのです。
秋を迎えたウクライナ。
歌が消え、声さえ忍んで暮らしている人々に思いを寄せて。