兵庫県神戸市に30台
街角にあり、誰もが自由に弾ける「ストリートピアノ」。
皆さんのまちにもあることでしょう。設置が進み、現在では全国各地で見かけるようになりました。
中でも、神戸市は市内に30台あり、その一つはピアノの世界3大メーカーに数えられるアメリカのスタインウェイ社製です。
週末には、ピアノを習い始めの幼児から難曲を弾きこなす大人までピアノを楽しんでいました。
なぜ高級なピアノがストリートピアノになったのでしょう。
また、神戸でストリートピアノが盛んな理由も紹介します。
1953年、アメリカ・ニューヨークに設立された世界最高峰のピアノメーカー。
ドイツにも工場があり、工程の約8割が手作業で行われています。
スタインウェイ・ジャパン社によると、2018年~19年の国内外のコンサートで、世界を代表する交響楽団と共演したピアニストの97.8%がスタインウェイのピアノで演奏しました。
人をひきつける高級ピアノの音色
そのピアノが置かれているのは、神戸・旧居留地にある三井住友銀行神戸営業部前です。
神戸市が2年前に設置しました。
マスク着用、弾く前の消毒、1人30分までといったルールがあります。
「スタインウェイを弾きたくて、ここに来ます。音の響きがとても豊かで、表現の幅が広がります」。<ショパン『幻想即興曲』を演奏した女性>
「弾く人も聴く人もみんながうれしい気持ちになる」。<ブルグミュラー『アラベスク』を弾いた小学生>
「楽しかった」。<ピアノを習い始めの5歳の女の子>
スタインウェイのピアノは繊細なピアニッシモ(極めて小さい音)から迫力あるフォルテッシモ(極めて大きな音)まで幅広い音の強弱や多彩な音色が出せるとされ、世界の一流ピアニストたちに愛されています。
ホールを引退し、まちへ
このピアノは1972年nドイツでつくられ、翌年から神戸文化ホールの大ホールで89年まで使われました。
その後、市内の東灘区文化センターで2003年から演奏され、18年に「引退」。
20年にストリートピアノとなりました。
現在、同じモデルの新品では2900万円ほどするといいます。
活用されていないピアノ再利用
神戸市が初めてストリートピアノを設置したのは19年。
1995年の阪神・淡路大震災で全壊した幼稚園のピアノが近くの小学校で使われずにねむっていたことがきっかけでした。
試験的に市内の音楽イベントで置くと好評で、ほかにも活用されていないピアノの再利用を進めてきました。
すべて屋根のある場所に置かれ、半年に1回以上は調律します。
市内に30台あり、市は「市町村で全国一ではないか」といいます。
「日本のジャズ発祥の地ともいわれる神戸は『音楽のまち』。街中で音楽に触れられる機会を増やす一環に、ストリートピアノもあります」と市の職員の方も説明します。
「これからも、ピアノの音色に包まれるまちにしていきたい」。